戸籍の第三者請求・代理取得とは?必要書類と取れる範囲をやさしく解説

戸籍は、誰でも自由に取れるわけではありません。プライバシー保護のため、請求できる人の範囲が法律で決められています。相続の調査や家系図づくりで「自分の直系ではない人の戸籍」が必要になったとき、第三者請求や代理取得(委任状)の知識が役立ちます。
2つの境目そのものは、それほど複雑ではありません。本人の代わりに請求するのが代理取得で、必要になるのは委任状です。本人とは別の立場で請求するのが第三者請求で、こちらは正当な理由の説明が求められます。家系図づくりでおじ・おばやいとこの戸籍が必要になったとき、どちらの道を通るのかで、用意するものがまるごと変わります。
目次
戸籍を請求できる人の範囲|原則は本人・配偶者・直系血族
戸籍は、プライバシー保護のため、請求できる人が戸籍法で限られています。窓口や郵送で自由に取れるのは、原則として次の人の戸籍です。
- 本人 — 自分自身の戸籍
- 配偶者 — 夫または妻
- 直系血族 — 父母・祖父母など(直系尊属)、子・孫など(直系卑属)
つまり、まっすぐ上下につながる家族(直系)と配偶者は、本人の立場で請求できます。一方で、兄弟姉妹・おじおば・いとこ・甥姪などの「傍系(ぼうけい)」の戸籍は、原則として本人の立場では取れません。これらが必要なときに使うのが、第三者請求や代理取得です。
戸籍の第三者請求とは|正当な理由が必要な請求

第三者請求とは、本人・配偶者・直系血族以外の人が、正当な理由を示して戸籍を請求することです。誰の戸籍でも自由に取れるわけではなく、「なぜ必要か」を明らかにし、役場がそれを認めた場合に限られます。正当な理由として認められる主なものは次のとおりです。
- たとえば、お金を貸した相手が亡くなり、相続人に返済を求めるために相続人を調べる、といった場合です。請求者自身の権利・義務に関わることが条件です。
- 役所などの公的な手続きで、戸籍の提出を求められた場合です。提出先と用途を具体的に示します。
- 上記に準じる、合理的で正当な理由がある場合です。理由があいまいだと認められません。
第三者請求では、請求書に理由をくわしく書き、必要に応じてその理由を裏づける資料(契約書の写しなど)を添えます。理由が認められなければ交付されません。なお、弁護士・司法書士などの一部の専門職には、職務上必要な場合に請求できる「職務上請求」という別の仕組みがあります。
戸籍の代理取得とは|委任状による請求
代理取得とは、戸籍を取れる人(本人など)から委任を受けて、代わりに請求することです。たとえば、本人が忙しくて窓口へ行けないときに、家族や友人が「委任状」を持って代わりに取る、というケースです。
代理取得では、委任状が欠かせません。委任状には、委任する人(本人)と委任される人(代理人)の氏名・住所、どの戸籍を何通取るか、といった内容を、委任する本人が記入・署名します。
| 必要なもの | ポイント |
|---|---|
| 委任状 | 委任する本人が作成・署名。取得する戸籍と通数を明記 |
| 代理人の本人確認書類 | 窓口へ行く代理人の運転免許証など |
| (郵送の場合)手数料・返信用封筒 | 郵送請求と同じく定額小為替・返信用封筒を同封 |
直系であれば委任状なしで取れますが、たとえば叔父本人の戸籍を、甥である自分が代わりに取るような場合は、叔父からの委任状が必要です。これが代理取得です。
必要書類と本人確認|窓口・郵送に共通の注意点
第三者請求・代理取得のどちらでも、請求には本人確認が欠かせません。共通して用意するものを整理します。
- 請求書 — 役場の様式に、請求者・取得する戸籍・通数・理由を記入します。
- 本人確認書類 — 窓口へ行く人(代理人・第三者)の運転免許証・マイナンバーカードなど。郵送ならその写し。
- 委任状(代理取得の場合) — 委任する本人が作成したもの。
- 理由を示す資料(第三者請求の場合) — 正当な理由を裏づける契約書の写しなど。
- 手数料 — 戸籍謄本450円、除籍謄本・改製原戸籍750円。郵送なら定額小為替で支払います。
郵送で請求する場合の流れは、基本的に通常の郵送請求と同じです。くわしくは戸籍の郵送請求のやり方もあわせてご覧ください。
家系図づくりで傍系の戸籍が必要なとき|進め方
家系図を作っていると、おじおば・いとこなど傍系の情報も入れたくなります。ただし前述のとおり、傍系の戸籍は本人の立場では取れず、第三者請求にも正当な理由が必要です。家系図づくりでは、次のように進めるのが現実的です。
- まず直系をたどる — 自分・父母・祖父母・曽祖父母…と、直系の戸籍は本人として請求できます。直系をさかのぼると、その戸籍の中に兄弟姉妹(傍系)の名前も記載されています。
- 直系の戸籍に載る範囲で傍系を把握する — たとえば祖父の戸籍を取れば、祖父の子(父やおじおば)の名前・続柄が分かります。戸籍を取らなくても、直系の戸籍から傍系の存在をたどれます。
- 本人の協力を得る — どうしても傍系本人の戸籍が必要なら、その本人に取得を依頼するか、委任状をもらって代理取得します。
集めた戸籍を家系図に起こす方法|家系図で一般的に使われる記法
集めた戸籍は、家系図に起こすと、直系も傍系も一枚の図でつながりが見えてきます。戸籍の続柄を、次のように家系図で一般的に使われる関係線へ置き換えていきます。
- 親子 — 実線で結びます。直系も傍系も、親子は実線です。
- 配偶者(婚姻) — 二重線で横に結びます。
- 離婚(元配偶者) — 二重線に斜線を重ねた二重斜線で表します。
- 養子 — 破線で結び、実親子(実線)と区別します。
亡くなった方は二重枠(故人)で表します。線の意味は家系図の記号・線の意味を、戸籍の読み解き方は家系図の見方・読み方もご覧ください。
本サイトの家系図エディタなら、直系・傍系の人物を並べ、実線・二重線・破線の関係線できれいな家系図に仕上げられます。登録は不要で、ブラウザですぐに使えます。
戸籍を集めた後に家系図へ起こす流れは、戸籍から家系図を作る方法・調べ方でまとめています。
家系図の作り方全体を知りたい方は、家系図の書き方完全ガイドもご覧ください。
請求できる範囲を先に把握しておけば、無理な請求で足止めされることもありません。まずは自分の直系から集めて、そこに載っている傍系の名前を手がかりに広げていくのが、遠回りに見えていちばん確実な進め方です。
よくある質問
戸籍は誰の分でも取れますか?
戸籍の第三者請求とは何ですか?
戸籍を代理で取ってもらうには何が必要ですか?
家系図を作るために、おじやいとこの戸籍を取れますか?
第三者請求と代理取得はどう違いますか?
AUTHOR
家系図マニア
祖父の連絡先を探して戸籍をたどった経験から、家系図を作りはじめました。家族のつながりも、歴史上の一族や物語の関係図も、自分の手でたどれる入口にしたいと考えて個人で運営しています。行政書士・司法書士などの資格は持たないため、法的な判断が必要な場合は専門家への相談をおすすめしています。