戸籍の全部事項証明書とは?戸籍謄本との違い・種類をやさしく解説

この記事で分かること
- 戸籍の全部事項証明書とは何か(いわゆる戸籍謄本との関係)
- 全部事項証明書と個人事項証明書(戸籍抄本)の違い
- 現在戸籍・除籍・改製原戸籍という戸籍の種類の違い
- 全部事項証明書の取り方(広域交付制度・手数料)
- 集めた戸籍を家系図に起こすときのポイント
「戸籍謄本を取ってください、と言われたのに、窓口や証明書には『全部事項証明書』と書いてある」——相続や各種手続きで戸籍を求められたとき、名前の違いに戸惑う方は少なくありません。整理すると、全員分の写しか一部の写しかで謄本・抄本=全部事項証明書・個人事項証明書と呼び分けられ、さらに現に使われているか閉じられたかで現在戸籍・除籍・改製原戸籍と呼び方が変わります。手数料も現在戸籍が1通450円、除籍・改製原戸籍は1通750円と異なるため、この対応関係を先に押さえておくと、窓口や広域交付での請求で迷いません。
目次
戸籍の全部事項証明書とは|意味と戸籍謄本との関係
戸籍の全部事項証明書とは、コンピュータ化された戸籍に記載されている全員分の身分事項を証明した書類です。読み方は「こせきぜんぶじこうしょうめいしょ」。ひとつの戸籍に入っている人(夫婦と未婚の子など)について、まるごと写して証明した公的な書類で、いわゆる戸籍謄本(とうほん)と同じものを指します。
なぜ呼び名が二つあるのかというと、戸籍が紙からコンピュータ管理へと切り替わったためです。多くの市区町村で戸籍が電算化され、それにともなって正式な名称も次のように変わりました。
| 区分 | 紙の戸籍(従来) | コンピュータ化後(現在) |
|---|---|---|
| 全員分の写し | 戸籍謄本 | 戸籍全部事項証明書 |
| 一部の人の写し | 戸籍抄本 | 戸籍個人事項証明書 |
つまり、「謄本=全部事項証明書」「抄本=個人事項証明書」という対応になります。役所の窓口で「戸籍謄本がほしい」と伝えれば、現在はこの全部事項証明書が交付されます。
戸籍には、本籍・筆頭者のほか、戸籍に入っている人それぞれの氏名・生年月日・続柄、そして出生・婚姻・離婚・養子縁組・死亡といった身分の変動が記録されています。全部事項証明書は、これらを戸籍に入っている全員分まとめて確認できる書類です。
全部事項証明書と個人事項証明書の違い|全員分か一部か

戸籍の証明書には、大きく分けて「全部事項証明書」と「個人事項証明書」の2種類があります。違いは、戸籍の全員分か、特定の人だけかという点です。
| 種類 | 旧名称 | 証明する範囲 | 手数料 |
|---|---|---|---|
| 戸籍全部事項証明書 | 戸籍謄本 | 戸籍に入っている全員分 | 1通 450円 |
| 戸籍個人事項証明書 | 戸籍抄本 | 戸籍の中の特定の1人など一部 | 1通 450円 |
手数料はどちらも1通450円で同額ですが、証明される範囲が異なります。どちらを取ればよいかは、提出先が求める内容によります。
- 全部事項証明書(謄本)が必要な場面 — 相続手続き、家系図づくり、家族関係をまとめて証明したいとき。相続では「亡くなった方の出生から死亡までの戸籍」を求められることが多く、現在戸籍の全部事項証明書だけでなく、除籍謄本や改製原戸籍までさかのぼって集めることになります。
- 個人事項証明書(抄本)で足りる場面 — 年金の手続きや各種の届け出など、本人ひとりの身分事項だけを証明すればよいとき。(なおパスポートの新規申請では、現在は戸籍謄本=全部事項証明書が必要です。)
戸籍の種類一覧|現在戸籍・除籍・改製原戸籍の違い
「戸籍の全部事項証明書」と一口に言っても、その戸籍がいまも使われているのか、すでに閉じられたものなのかで呼び方が変わります。家系図づくりや相続でさかのぼると、次の3種類に出会います。
| 戸籍の種類 | 読み方 | どんな戸籍か | 手数料 |
|---|---|---|---|
| 現在戸籍 | げんざいこせき | いま現に使われている戸籍。全部事項証明書として交付される | 1通 450円 |
| 除籍 | じょせき | 全員が結婚・死亡・転籍などで抜け、閉じられた戸籍 | 1通 750円 |
| 改製原戸籍 | かいせいげんこせき | 法改正で様式が作り替えられる前の、古い戸籍 | 1通 750円 |
それぞれを順に見ていきます。
- 現在戸籍 — 現在も効力を持つ戸籍です。ここから取得できるのが、これまで説明してきた「戸籍全部事項証明書」になります。
- 除籍(除籍謄本・除籍全部事項証明書) — 戸籍に入っていた人が全員いなくなると、その戸籍は閉じられ「除籍」となります。亡くなった方の戸籍をたどる相続では、この除籍を集める場面が多くあります。
- 改製原戸籍(はらこせき) — 法律の改正で戸籍の様式が新しくなる際、作り替えられる前のもとの戸籍を「改製原戸籍」と呼びます。「はらこせき」と読まれることも多く、昭和や平成の改製前の情報は、こちらに残っています。
戸籍の全部事項証明書の取り方|広域交付制度と手数料
戸籍の全部事項証明書は、本籍地のある市区町村で取得するのが基本です。窓口のほか、郵送やマイナンバーカードを使ったコンビニ交付に対応している自治体もあります。さらに2024年3月からは、本籍地が遠くても請求しやすくなりました。
- 自分のものだけでよいのか、相続や家系図のように亡くなった方や先祖の分まで必要かを整理します。さかのぼる場合は除籍・改製原戸籍も対象になります。
- 本籍地の市区町村の窓口・郵送のほか、2024年3月に始まった広域交付制度なら、本籍地が遠方でも最寄りの市区町村の窓口でまとめて請求できます。
- マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類を持参します。広域交付では顔写真付きの本人確認書類が必要です。
- 手数料は全部事項証明書(現在戸籍)が1通450円、除籍・改製原戸籍が1通750円です。
2024年(令和6年)3月から始まった広域交付制度を使うと、本籍地が遠方でも、最寄りの市区町村の窓口で戸籍をまとめて請求できます。自分の戸籍に加え、配偶者や、親・祖父母・子・孫といった直系の方の戸籍も対象です。先祖の戸籍を集めて家系図を作りたいときに、とても便利な制度です。ただし請求できるのは本人・配偶者・直系の親族が窓口に出向く場合に限られ、顔写真付きの本人確認書類が必要で、郵送や代理人による請求はできません。使い方の詳細は戸籍の広域交付制度の使い方|本籍地以外で取る方法で解説しています。
戸籍から家系図を作る方法|全部事項証明書の活かし方
集めた戸籍は、相続の証明に使うだけでなく、家系図づくりのいちばん確かな資料になります。全部事項証明書には、戸籍に入っている全員の氏名・続柄・生年月日や、婚姻・養子縁組といった事実が正確に記録されているからです。
戸籍から家系図を起こすときは、次の点を意識すると整理しやすくなります。
- 人物を世代でそろえて並べる — 戸籍の筆頭者と続柄を手がかりに、親世代・本人世代・子世代を上下にそろえます。
- 関係を線で描き分ける — 家系図で広く使われている標準的な記法では、親子は実線、配偶者(婚姻)は二重線、離婚は二重線に斜線を重ねた二重斜線、養子は破線で表します。実の親子か養子縁組かを線で区別できるのが利点です。
- 故人は故人として表す — 亡くなった方は二重枠などで表し、必要に応じて没年を添えます。除籍や改製原戸籍から読み取った情報がここで生きてきます。
文章だけで戸籍の関係を追うのは大変ですが、図にすると一気に分かりやすくなります。本サイトの家系図エディタは、男性・女性・故人の記号や、実線・二重線・二重斜線・破線の関係線を、選ぶだけで引けるよう作られています。集めた戸籍を見ながら人物と線を並べていけば、迷わず家系図の形にできます。和紙・免許状風のテンプレートも用意していますので、清書して家族に残すのにも向いています。登録は不要で、ブラウザですぐに使えます。
戸籍を集めた後に家系図へ起こす流れは、戸籍から家系図を作る方法・調べ方でまとめています。
戸籍を読み解いて家系図に起こす手順は、家系図の書き方完全ガイドで図解とともに詳しく解説しています。記号や関係線の意味から確認したい方は家系図の記号・線の意味を、亡くなった方の書き方は故人(亡くなった人)の家系図の書き方もあわせてご覧ください。
全部事項証明書は、戸籍のコンピュータ化にともなって戸籍謄本から呼び名が変わっただけの書類ですが、現在戸籍・除籍・改製原戸籍という区分と手数料の違いまで押さえておくと、広域交付を使う場面でも迷いにくくなります。集めた戸籍は、眺めるだけで終わらせず家系図の形に起こしてはじめて、家族のつながりとして残ります。
戸籍の全部事項証明書に関するよくある質問
全部事項証明書と戸籍謄本は何が違いますか?
全部事項証明書と個人事項証明書はどちらを取ればよいですか?
全部事項証明書の手数料はいくらですか?
本籍地が遠方でも全部事項証明書は取れますか?
家系図を作るには全部事項証明書だけで足りますか?
AUTHOR
家系図マニア
祖父の連絡先を探して戸籍をたどった経験から、家系図を作りはじめました。家族のつながりも、歴史上の一族や物語の関係図も、自分の手でたどれる入口にしたいと考えて個人で運営しています。行政書士・司法書士などの資格は持たないため、法的な判断が必要な場合は専門家への相談をおすすめしています。