相続に家系図は必要か|相続人の範囲を家系図で整理する方法

この記事で分かること
- 相続に家系図は必要か|法的な義務と、それでも役立つ理由
- 相続人の範囲と順位|配偶者・子・父母・兄弟姉妹の決まり方
- 相続人の範囲をケース別に整理した早見表
- 代襲相続・養子・離婚で間違えやすいポイント
- 相続人を家系図で確定する手順と、専門家に相談する目安
「相続のために家系図は作らないといけないの?」「結局、誰が相続人になるのか分からない」——相続の場面でまず迷うのが、相続人の確定です。家系図そのものに法的な義務はありませんが、相続人の範囲を整理し、家族で共有する道具としてとても役立ちます。
提出を求められるのは「家系図」ではなく、相続関係説明図や法定相続情報一覧図という決まった形式の図です。家系図はその手前に置く下書きにあたります。誰が相続人で誰が違うのかを親族で共有し、専門家に相談するときに一枚見せれば話が早く進む——役立つのはそこです。逆に言えば、家系図を作らないまま相続人の話を進めると、認識のずれが最後まで残ります。
目次
相続に家系図は必要か|法的な義務と役立つ理由
結論からお伝えすると、相続の手続きで「家系図」そのものの提出が義務づけられているわけではありません。相続人を証明するために必要なのは、戸籍(戸籍謄本一式)です。家系図がなくても、戸籍がそろっていれば手続きは進められます。
それでも家系図が役立つのは、次のような理由からです。
- 相続人を一目で把握できる — 集めた戸籍の情報を家系図に整理すると、誰が相続人になるのかを立場(続柄)とともに確認できます。
- 親族間で共有しやすい — 関係を一枚の図にできるため、遺産分割の話し合いや、離れて暮らす親族への説明がスムーズになります。
- 手続き用の図の下書きになる — 家系図をもとにすれば、相続手続きで使う相続関係説明図や法定相続情報一覧図も作りやすくなります。
相続で使う3つの図(家系図・相続関係説明図・法定相続情報一覧図)の違いは、終活・相続のための家系図でまとめています。あわせてご覧ください。
相続人の範囲とは|民法が定める順位と対象

誰が相続人になれるか(法定相続人の範囲)は、民法で決まっています。配偶者は常に相続人となり、それに加えて血族が次の順位で相続人になります。上の順位の人がいれば、下の順位の人は相続人になりません。
| 順位 | 相続人 | 補足 |
|---|---|---|
| 常に | 配偶者 | 婚姻している夫・妻。順位とは別枠で常に相続人 |
| 第1順位 | 子(直系卑属) | 子が先に亡くなっていれば孫が代襲相続 |
| 第2順位 | 父母(直系尊属) | 子がいない場合。父母が亡くなっていれば祖父母 |
| 第3順位 | 兄弟姉妹 | 子も父母もいない場合。甥・姪が代襲相続 |
ポイントは、配偶者は別枠で常に相続人、血族は第1→第2→第3の順で、上の順位がいれば下は相続人にならないという2点です。たとえば子がいれば、父母や兄弟姉妹は相続人になりません。
相続人の範囲をケース別に整理する|早見表
「自分の家族の場合は誰が相続人になるの?」を整理しやすいよう、よくあるケースを早見表にまとめました。被相続人を中心に考えます。
| 家族構成 | 相続人になる人 | 相続人にならない人 |
|---|---|---|
| 配偶者と子がいる | 配偶者・子(全員) | 父母・兄弟姉妹 |
| 子がいる(配偶者なし) | 子(全員) | 父母・兄弟姉妹 |
| 子がいない・配偶者と父母 | 配偶者・父母(直系尊属) | 兄弟姉妹 |
| 子も直系尊属もいない・配偶者と兄弟 | 配偶者・兄弟姉妹 | — |
| 配偶者のみ(子・直系尊属・兄弟なし) | 配偶者 | — |
このように、上の順位の相続人がいるかどうかで、下の順位の人が相続人になるかが変わります。まず子の有無、次に父母・祖父母など直系尊属の有無、最後に兄弟姉妹、という順で見ていくと整理しやすくなります。なお第2順位は父母に限らず、父母が亡くなっていれば祖父母などの直系尊属が相続人になります。
相続人の範囲で間違えやすいポイント|代襲・養子・離婚
相続人の範囲を確認するとき、つまずきやすいのが次の3つです。家系図で正しく描き分けておくと、判断のミスを防げます。
| 論点 | 家系図での描き方 | 相続で見るポイント |
|---|---|---|
| 代襲相続 | 親子(実線)でつなぐ | 相続人になるはずの子が先に死亡 → その子(孫)が代わりに相続 |
| 養子 | 養子は破線 | 養子も実子と同じく第1順位の相続人になる |
| 離婚 | 元配偶者は二重斜線 | 離婚した元配偶者は相続人にならない(子は相続人のまま) |
とくに代襲相続は見落としがちです。相続人になるはずの子がすでに亡くなっている場合(死亡のほか、相続欠格・廃除で相続権を失った場合も含みます)、その子(被相続人から見て孫)が代わりに相続人になります。第3順位の兄弟姉妹が相続人になるケースでは、その子(甥・姪)が代襲しますが、兄弟姉妹の代襲は甥・姪までで、それより下の世代へは代襲しません。
養子・離婚・代襲のくわしい家系図の書き方は、養子の家系図の書き方、離婚・再婚の家系図の書き方でそれぞれ解説しています。
相続人を家系図で確定する方法|戸籍を集めて整理する
相続人を正確に確定するには、戸籍を集めて家系図に整理するのが確実です。戸籍には、出生・婚姻・養子縁組・死亡といった、相続人を見極めるために必要な事実が記録されているからです。
- 亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの戸籍をすべて集めます。2024年に始まった広域交付制度を使えば、本人・配偶者・直系(父母・子など)の戸籍を最寄りの窓口でまとめて取れます。ただし兄弟姉妹など傍系の戸籍や、代理人・郵送による請求は対象外です。
- 戸籍から、配偶者・子(実子・養子)・父母・兄弟姉妹を読み取ります。先に亡くなっている人がいれば、代襲相続の有無も確認します。
- 被相続人を中心に人物を並べ、親子(実線)・配偶者(二重線)・養子(破線)などの線で結びます。順位に従って、相続人を確定します。
- 相続人が多い、養子・離婚・数次相続が絡むなど複雑な場合は、司法書士・行政書士などの専門家に相談すると安心です。
戸籍を集めて家系図を作る具体的な手順は、戸籍から家系図を作る方法・調べ方でまとめています。広域交付の使い方は戸籍の広域交付制度が参考になります。
相続人を家系図テンプレートで整理する
本サイトの家系図エディタは、相続人の整理に必要な関係線(親子=実線・配偶者=二重線・離婚=二重斜線・養子=破線)をそのまま選んで引けるよう作られています。被相続人を中心に相続人を並べて線で結ぶだけで、相続関係を一枚に整理できます。和紙・免許状風のテンプレートもあり、登録は不要です。
整理した家系図は、相続手続きで使う相続関係説明図や法定相続情報一覧図の下書きとしても活用できます。
相続が複雑なときは専門家へ相談を
家系図で相続人を整理しても、次のようなケースでは判断が難しくなります。無理にひとりで抱えず、専門家への相談を検討しましょう。
- 相続人が多い、または疎遠で連絡がつきにくい
- 養子縁組・離婚・再婚・認知などが絡む
- 相続人がすでに亡くなっていて、数次相続・代襲相続が発生している
- 前妻・前夫との間に子がいるなど、戸籍を読み解くのが難しい
戸籍収集や相続関係の整理は司法書士・行政書士が専門です。まず家系図で関係を整理してから相談すると、何をどこまで頼めばよいかが見えやすく、話がスムーズに進みます。家系図作成を代行に頼む場合の選び方は、家系図作成代行の選び方を参考にしてください。
相続人の範囲は、被相続人を中心に置いた一枚の図で見ると、ぐっと分かりやすくなります。配偶者を横に、子を下に、親を上に。そこへ亡くなっている人と存命の人を描き分けるだけで、誰が相続人なのかがほぼ見えてきます。判断に迷う関係が出てきたら、その時点で司法書士や弁護士に図を見せて確認するのが、いちばん確実で早い進め方です。
よくある質問
相続に家系図は必ず必要ですか?
相続人の範囲はどこまでですか?
代襲相続とは何ですか?
養子や離婚した相手は相続人になりますか?
相続人を確定するにはどうすればいいですか?
AUTHOR
家系図マニア
祖父の連絡先を探して戸籍をたどった経験から、家系図を作りはじめました。家族のつながりも、歴史上の一族や物語の関係図も、自分の手でたどれる入口にしたいと考えて個人で運営しています。行政書士・司法書士などの資格は持たないため、法的な判断が必要な場合は専門家への相談をおすすめしています。