奨学金申込の続柄の書き方|生計維持者・家計支持者の記入例
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奨学金の申込みでつまずくのは、たいてい「生計維持者」という言葉です。戸籍にも住民票にも出てこないうえ、日常でも使いません。高等教育の修学支援新制度や日本学生支援機構(JASSO)の手続きで使われる制度用語なので、初めて見て意味が分からないのは当然です。
学校や自治体の奨学金では「家計支持者」という言い方を見かけます。家計を主に支えている人を指す点は生計維持者と重なりますが、誰を何人書くかの基準は制度ごとに決められているので、申し込む奨学金の案内にある定義をそのまま読むのが確実です。ここではJASSOの給付奨学金・貸与奨学金で使う「生計維持者」を軸に整理します。
しかもこの欄は、名前と続柄を書くだけの単純な欄に見えて、誰を何人書くかが先に決まらないと一文字も埋まりません。書き方より先に、家族のうち誰が生計維持者に当たるのかを決める必要があります。
目次
生計維持者とは|学費や生活費を負担している人
JASSOは生計維持者を「申込者本人の学費や生活費を負担する人」と説明しており、原則として父母がこれに当たります。奨学金は本人の収入ではなく、この生計維持者の収入で家計基準を判定するため、誰を登録するかが選考に直接ひびきます。
スカラネットの入力下書き用紙では、生計維持者の欄に「あなたとの続柄」を入力します。注記は「あなたからみた続柄です。(例)父、母」。つまり起点は申込者本人で、父を書くときは「父」、母なら「母」です。
書類ごとに起点が変わる話は書類別の続柄の書き方一覧にまとめています。奨学金は本人起点だと覚えてしまえば、この欄で迷うことはありません。
父母がいる場合|収入がなくても2人とも書く
いちばん多い間違いが、働いていない親を書き落とすことです。下書き用紙には「父母がいる場合は、収入の有無に関わらず必ず父母ともに生計維持者として入力が必要です」と明記されています。専業主婦(主夫)の親も、無職の親も、生計維持者2人のうちの1人です。
| 家族の状況 | 生計維持者の人数 | 続柄の書き方 |
|---|---|---|
| 父母が同居している | 2人 | 父・母 |
| 父母が健在で単身赴任 | 2人 | 父・母 |
| 母が無収入 | 2人 | 父・母 |
| ひとり親(死別・離婚) | 1人 | 父 または 母 |
| 父母ともにいない | 1人 | 祖父・祖母・おじ など |
例外は「離婚等により完全に別生計の人」です。父母が離婚し、一方とまったく生計が分かれている場合は、その人は生計維持者になりません。生計維持者は1人だけになります。
再婚相手の続柄|養子縁組をしていなくても「父」「母」

親が再婚している場合、この欄の扱いは戸籍の感覚とずれます。下書き用紙の注記は「養子縁組の有無に関わらず、再婚相手の続柄は父又は母を選択してください」です。
戸籍のうえでは、養子縁組をしていない再婚相手と子は親子ではありません。それでも申込者と同一生計であれば家計をともに支えている人なので、JASSOは生計維持者として扱い、続柄も「父」「母」と書かせます。
つまり、離婚した実父を生計維持者に書き、同居している継父を書かない、という組み合わせは逆です。基準は血のつながりではなく、いま家計を支えているかどうかです。
父母がいないとき|主に支えている人を1人だけ
父母ともにいない場合は、代わりに生計を維持している人を書きます。下書き用紙は「父母ともいない場合で代わって生計を維持している人がいるときは、主に生計を維持している人を(2)に入力してください。(3)の入力は不要です」としています。生計維持者①だけを埋め、②は空欄という形です。
祖父母とおじの両方から仕送りを受けているような場合でも、書くのは主たる支援者1人です。続柄は本人から見て「祖父」「祖母」「おじ」「おば」と書きます。祖父母の続柄の書き分けは続柄「祖父母」の書き方で整理しています。
父母と死別して親族からの経済的支援がまったくない場合などは、本人自身が生計維持者(独立生計者)となることがあります。判断に迷うときは、奨学金案内に載っている生計維持者確認チャートを学校の窓口といっしょに確認するのが確実です。
児童養護施設や里親のもとで育った場合|証明書類とセットで申告する
スカラネットには「あなたは社会的養護を必要とする人ですか」という設問があります。JASSOがここでいう対象は、満18歳となる前日に児童養護施設等に入所していた(養育・一時保護されていた)人です。児童養護施設・児童自立支援施設・児童心理治療施設・自立援助ホーム・ファミリーホーム・里親が含まれます。高等学校等の卒業により満18歳の前日までに措置を解除された人、満18歳以降に入所することになった人も対象です。
ここで「はい」を選ぶと、生計維持者の欄が一部自動表示されます。あわせて、施設等在籍証明書や児童(里親)委託証明書など、在籍や委託の日付が分かる証明書類の提出が必要になります。続柄をどう書くかで悩む前に、この設問で正しく申告しておくのが先です。
連帯保証人の続柄|父母がいる場合は父母
人的保証を選ぶと、連帯保証人と保証人を1人ずつ、合計2人入力します。連帯保証人は原則として本人の父母で、父母がいない等の場合に4親等以内の親族から選びます。続柄欄はここでも本人起点なので、「父」「母」と書きます。
貸与奨学金案内が挙げる連帯保証人の条件は、原則として次の3つです。父母(いない等の場合は4親等以内の親族)であること、本人の配偶者・婚約者でないこと、未成年者・学生・債務整理中でないこと。
これに加えて、本人が貸与終了時に満45歳を超える場合に限り、連帯保証人自身が貸与終了時点で60歳未満であることが求められます。本人が45歳以下で申し込む一般的な場合、連帯保証人の年齢の上限はありません。
18歳未満で申し込む場合は、親権者(未成年後見人)についての設問も現れます。未成年後見人が連帯保証人になるときは、その続柄を書く扱いです。
保証人の続柄|「おじ・おば」と「その他(知人等)」の分かれ目
保証人の条件は連帯保証人より細かく、本人の父母以外の人であることが最初に来ます。そのうえで、本人および連帯保証人と別生計であること、本人または連帯保証人の配偶者・婚約者でないこと、4親等以内の親族であること、誓約日(スカラネットに入力した日)時点で65歳未満であること、未成年者・学生・債務整理中でないことが求められます。続柄欄の例示は「おじ、おば」です。
ここでいう4親等以内の親族とは、4親等以内の血族・配偶者・3親等以内の姻族を指します。ただし配偶者そのものは連帯保証人にも保証人にも選任できません。
ここに、見落としやすい注記があります。次の人は親族であっても「父(母)」や「その他(4親等以内)」を選ばず、「その他(知人等)」と書くよう指定されています。
| 保証人にする人 | 続柄欄の書き方 |
|---|---|
| 離婚した父母 | その他(知人等) |
| 本人が養子縁組している場合の実父母 | その他(知人等) |
| 配偶者の父母(義父母) | その他(知人等) |
いずれも、原則から外れた例外的な選任として扱われる人たちです。続柄を「その他(知人等)」と選べば通るわけではなく、「返還保証書」と資産等の証明書類を出したうえで、貸与予定総額の2分の1を確実に保証できる資力があると認められる必要があります。ここを「父」と書いてしまうと、そもそも要件を満たさない組み合わせとして判定される可能性があります。
一方、別生計のおじ・おば・兄弟姉妹は原則どおりの選任です。続柄欄には「おじ」「おば」「兄」「姉」などと書き、返還保証書や資産等の証明書類は求められません。同じ表に見えても、こちらは例外扱いではない点を取り違えないでください。
4親等以内の数え方|おじ・おばは3親等、いとこは4親等
保証人選びで必要になるのが親等の数え方です。民法では、親子1世代を1親等として数えます。本人から父母が1親等、祖父母が2親等、おじ・おばは祖父母を経由するので3親等、いとこは4親等です。
| 続柄 | 親等 | 保証人にできるか |
|---|---|---|
| 父・母 | 1親等 | 連帯保証人は原則ここから。保証人には選べない |
| 兄・姉 | 2親等 | 成年・別生計・65歳未満なら可 |
| 祖父・祖母 | 2親等 | 65歳未満の条件で外れやすい(例外選任の道はある) |
| おじ・おば | 3親等 | 選ばれることが多い |
| いとこ | 4親等 | 範囲内。別生計・65歳未満などの条件は同じ |
祖父母は親等の面では問題なくても、65歳未満という条件で外れることが少なくありません。数える前に候補を絞るのではなく、いったん親族を全部並べてから条件でふるいにかけるほうが早く決まります。
家系図を1枚描いてから申込画面を開く
奨学金の申込みは、生計維持者を何人書くか、保証人を誰にするかという2つの判断を、続柄という短い言葉で表に出す作業です。再婚や離婚をはさんだ家族ほど、頭の中だけで並べると数え違えます。
家系図エディタなら、親子を実線、配偶者を二重線、離婚を二重斜線、養子縁組を破線で描き分けられます。家系図で一般的に使われる書き方に沿っているので、誰と生計が切れていて、誰が何親等なのかを目で確かめてから入力に進めます。
きょうだいが同じ年に申し込むときや、翌年の継続手続きでも同じ図が使えます。書きながら迷った箇所を図にメモしておくと、学校の窓口で相談するときにも話が早く進みます。
AUTHOR
家系図マニア
祖父の連絡先を探して戸籍をたどった経験から、家系図を作りはじめました。家族のつながりも、歴史上の一族や物語の関係図も、自分の手でたどれる入口にしたいと考えて個人で運営しています。行政書士・司法書士などの資格は持たないため、法的な判断が必要な場合は専門家への相談をおすすめしています。