遺伝・保因者の家系図|医療系の記号と書き方を図解で解説

発端者(プロバンド)とは、その家系で最初に受診・相談した中心人物を指す医学用語です。遺伝の家系図(ペディグリー)は、この発端者を起点に、患者は塗りつぶし、保因者は記号中央の点で表すなど、一般的な家系図とは異なる記号を使って描かれます。同じ「二重線」でも、一般的な家系図では婚姻を意味し、遺伝の家系図では近親婚を意味するというように、線の意味が逆転する点が混同されやすいポイントです。
目次
遺伝の家系図とは|一般的な家系図との違い
遺伝の家系図は、医学では「家系図(pedigree/ペディグリー)」や「系譜」とも呼ばれ、発端者(最初に相談・受診した人)を中心に、血縁関係と、ある形質・疾患の有無を記号で表したものです。遺伝カウンセリングでは、遺伝形式の推定や、保因者・発症リスクの見積もりに用いられます。
一般的な家系図(家のつながりを記録する図)とは、目的も記号も異なります。
| 観点 | 遺伝の家系図 | 一般的な家系図 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 遺伝形式・発症や保因の可能性を読む | 家のつながり・系譜の記録 |
| 記号 | 患者は塗りつぶし、保因者は点で示す | 性別を形で表すのが中心 |
| 線の意味 | 婚姻は実線、近親婚は二重線 | 婚姻は二重線で描くのが標準的 |
医療・看護の現場で家族の状況や関係性を描く図には、よく似たジェノグラムもあります。違いはジェノグラムの書き方で整理しています。ここからは、遺伝の家系図に特有の記号と線を見ていきます。
遺伝の家系図の記号|男女・患者・保因者・発端者

遺伝の家系図では、人物を性別ごとの形で表し、形質や病気の有無を記号の塗り方で示します。これが一般的な家系図ともっとも違うところです。
| 対象 | 記号 | 書き方のポイント |
|---|---|---|
| 男性 | □(四角) | 配偶者線の左側に置くのが慣例 |
| 女性 | ○(丸) | 配偶者線の右側に置くのが慣例 |
| 性別不明 | ◇(ひし形) | 性別が不明・未確定のときに使う |
| 患者(罹患者) | 塗りつぶし(■・●) | 形質・病気が現れている人を塗る |
| 保因者 | 記号の中央に点(□・○に • ) | 変化を持つが発症していない人。半分塗りで示す流儀もある |
| 発端者 | 記号に矢印(↗) | 最初に受診・相談した中心人物 |
| 死亡 | 記号に斜線(/) | 没年や年齢を添えることが多い |
世代はローマ数字(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ…)で上から、各世代のなかの個人はアラビア数字で左から番号を振ると、「Ⅱ-3」のように一人ひとりを正確に指せます。流産・死産は小さな三角などで表し、性別が分かれば形を変えます。
人物の形そのものは、一般的な家系図と同じく男性=□・女性=○です。記号の基本は家系図の記号・線の意味もあわせて参考になります。
遺伝の家系図の関係線|婚姻・近親婚・子・世代
人物どうしを結ぶ線は、血縁と婚姻の構造を表します。遺伝の家系図では、近親婚を二重線で示すなど、遺伝形式の読み取りに直結する決まりがあります。
| 関係 | 線の書き方 | ポイント |
|---|---|---|
| 婚姻 | 横の実線で結ぶ | 男性を左、女性を右に置く |
| 近親婚 | 横の二重線で結ぶ | 血縁のある夫婦であることを示す |
| 子 | 婚姻線の中央から下ろす | 年長を左から順に並べる |
| 双子 | 一点から枝分かれ | 一卵性は枝の根元を横線で結ぶ |
| 世代 | 同じ高さにそろえる | 同世代は横一列にそろえる |
子どもは、夫婦を結ぶ線の中央から縦線を下ろし、年長の子を左から順に配置します。きょうだいは同じ高さにそろえ、世代がひと目で分かるようにします。子を持たないことが分かっている夫婦は、線の先に印を付けて示すこともあります。
遺伝の家系図と遺伝形式|常染色体・X連鎖の見分け方
記号と線が読めるようになると、家系図の形から「どんな遺伝形式か」を推定できます。代表的な遺伝形式と、保因者がどこに現れるかを整理します。
| 遺伝形式 | 家系図に現れる特徴 | 保因者・伝える人 |
|---|---|---|
| 常染色体顕性(優性) | 世代ごとに患者が連続して現れる | 発症者が次世代へ伝える(非発症の保因者は基本いない) |
| 常染色体潜性(劣性) | 患者は飛び飛び、近親婚で増えやすい | 患者の両親はともに保因者 |
| X連鎖潜性(劣性) | 男性に患者が多く、男性どうしは伝えない | 母親が保因者(女性は半塗りで示すことも) |
たとえば常染色体潜性(劣性)では、変化を一つだけ持つ人(保因者)は発症せず、両親がともに保因者のときに子に患者が現れます。X連鎖潜性(劣性)では、女性は二つあるX染色体の片方に変化があっても発症しにくく、保因者として次世代に伝えることがあります。こうした読み取りは家系図の形が手がかりになります。
遺伝の家系図を作成ツールで描く|効率化と注意点
手書きの家系図は、世代や人数が増えると線の引き直しが大変です。作成ツールを使えば、人物の追加や配置換えが自由にでき、記録として共有・印刷もかんたんになります。
本サイトの家系図エディタは、男性を□・女性を○の形で表し、人物どうしを線で結ぶ作りになっています。人物を足しても線が自動でつながるため、数世代の家族構成をすばやく図にできます。塗りつぶし(患者)や中央の点(保因者)といった医療系の記号は備えていないため、患者・保因者は注記やメモで補う使い方になりますが、家族構成の下地づくりには十分役立ちます。登録は不要で、ブラウザですぐに始められます。
家系図づくりの全体像は、家系図の書き方完全ガイドでも基礎から解説しています。あわせて読むと、医療系と一般的な記法の違いが整理しやすくなります。
遺伝・保因者の家系図の書き方まとめ|記号と線の対応を崩さない
遺伝の家系図は、発端者を起点に数世代の構造を描いてから、患者(塗りつぶし)・保因者(中央の点)の記号を書き入れる、という順で進めると整理しやすくなります。一般的な家系図とは記号や線の意味が異なる点にだけ注意すれば、遺伝の流れが見える一枚になりますが、患者の現れ方や保因者の位置から遺伝形式を推定できても、確定診断や発症リスクの評価は専門家の判断が必要です。気になる点は遺伝カウンセリング外来などにご相談ください。
よくある質問
遺伝の家系図と一般的な家系図は何が違いますか?
保因者は家系図でどう表しますか?
発端者(プロバンド)とは何ですか?どう描きますか?
家系図の形から遺伝形式は分かりますか?
AUTHOR
家系図マニア
祖父の連絡先を探して戸籍をたどった経験から、家系図を作りはじめました。家族のつながりも、歴史上の一族や物語の関係図も、自分の手でたどれる入口にしたいと考えて個人で運営しています。行政書士・司法書士などの資格は持たないため、法的な判断が必要な場合は専門家への相談をおすすめしています。