ジェノグラム(医療・看護)の書き方|記号と関係線を図解で解説

家系図の記法を調べていく中で、看護・医療現場で使われるジェノグラムの資料に目を通す機会がありました。同じように四角と丸で人物を表しているのに、婚姻や離婚を示す線の引き方が家系図とは微妙に違っていて、最初は戸惑ったという経験があります。ジェノグラムは患者さんを中心に約3世代の家族関係を描く図で、家系図とは目的も線の意味も別物として覚えておく必要があります。
目次
ジェノグラムとは|家系図との違いと医療・看護での役割
ジェノグラムは、家族構成図とも呼ばれ、患者さんを中心に、原則として3世代の家族を記号と線で表したものです。看護では、アセスメントや退院支援の場面で、家族の支援力やキーパーソンを見極める手がかりとして用いられます。
一般的な家系図と似ていますが、目的と表記には違いがあります。
| 観点 | ジェノグラム | 家系図 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 家族の状況・関係性の把握(支援) | 家のつながり・系譜の記録 |
| 範囲 | 患者を中心に約3世代 | 何代もさかのぼることが多い |
| 特徴 | 関係性(親密・葛藤など)も描く | 血縁・婚姻の記録が中心 |
両者の違いは、家系図とジェノグラムの違いでも詳しく整理しています。ここからは、ジェノグラム特有の記号と線の書き方を見ていきます。
ジェノグラムの記号の書き方|男女・本人・死亡

ジェノグラムでは、人物を記号で表します。性別を形で、状態を記号内の書き込みで示すのが基本です。
| 対象 | 記号 | 書き方のポイント |
|---|---|---|
| 男性 | □(四角) | 線の左側に置くのが慣例 |
| 女性 | ○(丸) | 線の右側に置くのが慣例 |
| 本人(患者) | 二重枠(◎・二重四角) | 中心人物を二重の枠で強調する |
| 死亡 | 記号の中に × | 没年や年齢を添える |
記号の中や脇には、年齢や名前を書き添えます。性別が不明な場合は三角(△)で表すこともあります。
家系図にも、男女を形で表したり、故人を二重枠で示したりする描き方があります。ただしジェノグラムとは記号や線の意味が一部異なるため、混同しないよう注意が必要です。記号の基本は家系図の記号・線の意味もあわせて参考になります。
ジェノグラムの関係線の書き方|婚姻・離婚・同居・子
人物どうしを結ぶ線は、家族の構造を表します。ジェノグラムには、家系図とは異なる独自の決まりがあります。
| 関係 | 線の書き方 | ポイント |
|---|---|---|
| 婚姻 | 実線で結ぶ | 男性を左、女性を右に置き、結婚年を添える |
| 離婚 | 婚姻線に斜線2本 | 解消を示す。離婚年を添える |
| 別居 | 婚姻線に斜線1本 | 別居中であることを示す |
| 同居・内縁 | 破線で結ぶ | 婚姻していない同居関係を示す(様式により表現に差あり) |
| 子 | 婚姻線の中央から下ろす | 年長を左から順に並べる |
子どもは、夫婦を結ぶ線の中央から下に線を下ろし、年長の子を左から順に配置します。養子は、子へ向かう線を破線にして実子と区別します。双子は、一点から枝分かれさせて表します。
ジェノグラムの関係性の線とエコマップ|親密・葛藤・疎遠
ジェノグラムの特徴は、家族の「構造」だけでなく「関係性」も描ける点です。人物どうしの感情的なつながりを、線の種類で表します。看護では、家族間の力関係や支援の質を読み取るのに役立ちます。
- 親密・良好 — 二重線や三重線で結び、関係が強いことを示します。
- 葛藤・対立 — 波線(ギザギザ線)で結び、緊張関係を示します。
- 疎遠 — 点線で結び、関わりが薄いことを示します。
- 断絶 — 線に区切りを入れ、関係が切れていることを示します。
こうした関係性に加え、家族と外部資源(医療機関・地域・職場など)とのつながりを描き足したものをエコマップと呼びます。ジェノグラムが家族の内側を、エコマップが家族と外部との関係を表すと整理すると分かりやすくなります。
ジェノグラムを書くときの手順|看護記録での進め方
実際にジェノグラムを描くときは、次の手順で進めると整理しやすくなります。
- 患者さんなど、中心となる人物を二重枠で配置します。誰を中心に家族を見るかを最初に定めます。
- 本人と同世代(配偶者・きょうだい)を横に並べ、上に親世代、下に子世代を配置します。3世代を目安にします。
- 婚姻(実線)・離婚(斜線2本)・同居(破線)・子(中央から下ろす)で家族構成を組み立てます。
- 親密・葛藤・疎遠などの関係性を線で加え、年齢・続柄・既往などの情報を添えて仕上げます。
ジェノグラムを作成ツールで描く|作図を効率化する方法
手書きのジェノグラムは、人物が増えると線の引き直しが大変です。作成ツールを使えば、人物の追加や線の修正が自由にでき、記録として共有・印刷もかんたんになります。
本サイトの家系図エディタは、男女を形で、中心人物を二重枠で表し、人物どうしを線で結ぶ作りになっています。人物を追加しても線が自動でつながるため、3世代の家族構成をすばやく図にできます。家系図の記法が中心のツールですが、家族構成図の下地づくりにも活用できます。登録は不要で、ブラウザですぐに始められます。
ジェノグラムでつまずきやすい点
- 家系図の線の意味と混同する — 家系図の婚姻=二重線・離婚=二重斜線と、ジェノグラムの婚姻=実線・離婚=斜線2本を取り違えると、どちらの図か分からなくなります
- 中心人物(インデックス)を決めずに描き始める — 誰を軸に家族を見ているかが曖昧なまま線を引くと、あとから二重枠を加える位置に迷います
- 関係性の線を最初から細かく入れすぎる — 親密・葛藤・疎遠をいきなり全員分書き込むと、構造線が読み取りにくくなります。まず3世代の構造を固めてから加えるのが安全です
- 現場・様式による表記の違いを統一しないまま使う — 同居や別居の線の表現は様式によって差があるため、使う現場のルールに合わせて統一しておく必要があります
よくある質問
ジェノグラムと家系図は何が違いますか?
ジェノグラムで本人(患者)はどう表しますか?
ジェノグラムで婚姻と離婚はどう描き分けますか?
ジェノグラムとエコマップの違いは何ですか?
AUTHOR
家系図マニア
祖父の連絡先を探して戸籍をたどった経験から、家系図を作りはじめました。家族のつながりも、歴史上の一族や物語の関係図も、自分の手でたどれる入口にしたいと考えて個人で運営しています。行政書士・司法書士などの資格は持たないため、法的な判断が必要な場合は専門家への相談をおすすめしています。