生命保険の受取人の続柄の書き方|指定できる範囲と記入例
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生命保険の申込書で、受取人の欄には名前と続柄を並べて書きます。このうち保険会社が先に見るのは続柄のほうです。名前は誰でも書けますが、続柄が引受けの範囲から外れていると、その申込みはそこで止まります。
しかも続柄の選び方は、保険金が支払われた後の税額まで動かします。同じ金額の保険でも、受取人が妻か孫かで手取りが変わるのです。受取人欄は、家族のなかから一人を選ぶ判断そのものだと考えたほうが実態に合っています。
目次
受取人に指定できる範囲|配偶者と2親等以内の血族が原則
誰を受取人にできるかは、法律ではなく保険会社ごとの引受基準で決まっています。ただし各社に共通する目安があり、配偶者と2親等以内の血族というのが一般的な線引きです。
2親等以内の血族とは、父母・子・祖父母・孫・兄弟姉妹を指します。ここから外れるおじ・おば・いとこ、そして義理の家族(配偶者の父母など姻族)は、原則として範囲外です。
| 続柄 | 被保険者からの親等 | 受取人指定の一般的な扱い |
|---|---|---|
| 妻・夫 | 配偶者 | 指定できる |
| 子(長男・長女など) | 1親等 | 指定できる |
| 父・母 | 1親等 | 指定できる |
| 孫 | 2親等 | 指定できる |
| 祖父・祖母 | 2親等 | 指定できる |
| 兄・姉・弟・妹 | 2親等 | 指定できる |
| おじ・おば | 3親等 | 原則として範囲外 |
| いとこ | 4親等 | 原則として範囲外 |
| 義父・義母 | 姻族1親等 | 原則として範囲外 |
範囲は各社の約款や取扱規定によって差があり、扶養の実態などを確認したうえで例外的に認める会社もあります。表はあくまで目安として使い、最終的には申込先の保険会社に確認してください。
続柄欄は誰から見て書くか|被保険者が基準になる書式が多い
受取人欄の続柄は、多くの申込書で「被保険者からみた続柄」を書く形になっています。契約者と被保険者が同じ人であれば迷いませんが、夫が妻に保険をかけるようなケースでは基準がずれます。
たとえば契約者が夫、被保険者が妻、受取人が夫という契約なら、受取人欄の続柄は「夫」です。契約者から見た続柄を書いてしまうと「妻」になり、意味が反対になります。欄の見出しが「被保険者との続柄」なのか「契約者との続柄」なのかを、記入前に一度確かめておくと安全です。
書類ごとに起点が変わる話は書類別の続柄の書き方一覧にまとめています。妻・夫の書き分けは続柄「配偶者」の書き方もあわせてご覧ください。
なお、契約者以外の人を被保険者にする死亡保険は、保険法によって被保険者の同意がなければ効力を生じないと定められています。受取人を後から変える場合も同じで、被保険者の同意が必要です。家族に黙って進められる手続きではありません。
2親等以内の数え方|孫・祖父母・兄弟姉妹まで

親等は、親子1世代を1として数えます。本人から子が1親等、孫は子を経由するので2親等です。兄弟姉妹は父母を経由して下りるため、こちらも2親等になります。
なお民法は親族を「六親等内の血族」「配偶者」「三親等内の姻族」の3つに分けており、配偶者には親等がありません。妻や夫を「1親等」と数えないのはこのためです。
図のように並べると、指定できる範囲の外側がはっきりします。おじ・おばは3親等、いとこは4親等なので、範囲から外れるのは数えれば分かる話です。迷いやすいのはむしろ、範囲内なのに税金の面で不利になる続柄のほうです。
内縁・事実婚の相手を受取人にする|同居と生計の実態を示す
婚姻届を出していない相手は、法律上の配偶者ではありません。それでも、実態を確認したうえで受取人として認める保険会社が増えています。確認の材料として挙げられることが多いのは、たとえば次のようなものです。
- 住民票の続柄が「未届の妻」「未届の夫」と記載されていること
- 同居している期間
- 互いに法律上の配偶者がいないこと
- 同一生計であることが分かる資料
この場合、続柄欄は「内縁の妻」「事実婚の夫」などと書き、保険会社の指定する書式に従います。ただし業界共通の基準はありません。同居年数の下限を公表している会社もあれば、年数を定めず総合的に審査する会社もあり、商品によっては内縁関係を受取人として取り扱わないこともあります。保険金額に上限を設ける運用もあるため、申込先ごとに問い合わせるのが確実です。
同性パートナーを受取人にする|証明書とセットで申し出る
同性パートナーについても、受取人として指定できる保険会社が広がっています。多くは、自治体のパートナーシップ宣誓制度の受領証や、任意後見契約・公正証書などの提出を求める運用です。
続柄欄は「パートナー」と書くか、会社が用意した区分から選ぶ形になります。ただし税制上の扱いは別で、婚姻届を出した配偶者に限られる配偶者の税額軽減は使えません。次の節で触れる非課税枠も、パートナーシップの関係だけでは相続人にあたらないため使えないのが通常です(養子縁組など別の法律関係で相続人になっている場合は話が変わります)。受取人にできることと、税金が軽くなることは別の話だという点は押さえておく必要があります。
続柄で税額が変わる|非課税枠が使えるのは相続人だけ
被保険者が亡くなって支払われる死亡保険金のうち、保険料を被保険者が負担していたものは、相続財産とみなされて相続税の対象になります。ここで効くのが「500万円 × 法定相続人の数」という非課税限度額です。
国税庁は相続人以外の人が取得した死亡保険金には非課税の適用がないと明記しています。さらに相続税法では、1親等の血族と配偶者以外の人が財産を取得した場合、相続税額に2割を加算すると定められています。
| 受取人 | 相続人にあたるか | 税金の扱い |
|---|---|---|
| 妻・夫 | あたる | 非課税枠あり・2割加算なし |
| 子 | あたる | 非課税枠あり・2割加算なし |
| 孫(子が健在) | あたらない | 非課税枠なし・2割加算あり |
| 兄弟姉妹(子が健在) | あたらない | 非課税枠なし・2割加算あり |
| 父母(子も孫もいない) | あたる | 非課税枠あり・2割加算なし |
「孫にまとまったお金を残したい」という気持ちで受取人を孫にすると、非課税枠が使えないうえ2割加算までかかります。子が先に亡くなって孫が代襲相続人になっている場合は、相続人として非課税枠を使えるうえ2割加算の対象からも外れるので、家族構成によって結論が変わる論点です。父母の行も同じで、子だけでなく代襲相続する孫もいないときにはじめて相続人になります。
受取人を変更する|保険会社に通知が届いた時点で効力
受取人は、保険事故が発生するまでであれば変更できます。保険法は、変更を保険者に対する意思表示によってすると定めており、その通知が保険会社に到達すると、発した時点にさかのぼって効力が生じます。ただし、この遡及効は到達前にすでに行われた保険給付までは覆しません。旧受取人に支払いが済んだ後では手遅れになるということです。
流れとしては、保険会社に連絡して変更請求書を取り寄せ、被保険者の同意欄を埋めて返送し、新しい受取人の氏名と続柄が記載された証券や通知を受け取る、という順です。離婚して元配偶者が受取人のまま残っているケースは実際に多いので、生活の節目ごとに証券を開いて確認しておきたいところです。
遺言で受取人を変更することもできます。ただし遺言が効力を生じた後、契約者の相続人が保険会社に通知しなければ保険会社に対抗できません。手続きの確実さでいえば、生前に変更手続きを済ませておくほうが安全です。
受取人が先に亡くなったとき|その相続人全員が受取人になる
受取人に指定していた人が、被保険者より先に亡くなることもあります。この場合、保険法はその相続人の全員が保険金受取人となると定めています。
たとえば受取人だった長男が先に亡くなると、長男の配偶者と子どもたち全員が受取人という状態になります。請求手続きには全員分の書類がそろわないと進みません。受取人が亡くなったら、次の受取人を指定し直しておくと、残された家族の負担が軽くなります。
受取人を決める前に、家族を一枚に並べる
受取人欄の続柄は、指定できる範囲・税金の重さ・請求手続きのしやすさという3つの条件を、たった数文字で背負う欄です。頭の中だけで候補を比べると、親等の数え違いと相続人の数え違いが同時に起きます。
家系図エディタで家族を並べれば、親子は実線、配偶者は二重線、離婚は二重斜線、養子縁組は破線で描き分けられます。誰が何親等で、誰が相続人にあたるのかを見ながら候補を絞れるので、証券を確認しながら家族と話すときの材料にもなります。
一度描いた図は、結婚や出産、離婚のたびに手を入れて使い続けられます。保険証券と同じ引き出しに入れておくと、次に受取人を見直すときの出発点になります。
AUTHOR
家系図マニア
祖父の連絡先を探して戸籍をたどった経験から、家系図を作りはじめました。家族のつながりも、歴史上の一族や物語の関係図も、自分の手でたどれる入口にしたいと考えて個人で運営しています。行政書士・司法書士などの資格は持たないため、法的な判断が必要な場合は専門家への相談をおすすめしています。